岐阜県との県境に位置し、田園地帯が広がる池田町の美しい景色の中を走るクロストレック。町内に信号は2ヵ所のみ、細くなだらかな道のりを進むうち、 曇天 から陽光が射しはじめた。
Photographs ●海老根里実
SUBARU on the Road
涼やかなグリーンを求めて
福井県福井市~今立郡池田町
岐阜県との県境に位置し、田園地帯が広がる池田町の美しい景色の中を走るクロストレック。町内に信号は2ヵ所のみ、細くなだらかな道のりを進むうち、 曇天 から陽光が射しはじめた。
Photographs ●海老根里実
湿った空気を吹き飛ばしたくて、北陸・福井で涼やかなグリーンスポットを巡るプランを思い立った。ジップラインを滑空できる森のアドベンチャーパーク。そして、フレッシュなマイクログリーンの素材を活かしたアイスクリーム店がお目当てだ。雨露に濡れる新緑が美しいドライブルートを爽快に走る相棒は、オフショアブルー・メタリックのクロストレック Limited。五感でグリーンを満喫する旅は、池田町の森を目指し、スタートした。
自然と一体になれる
ジップラインを滑空!
雨上がりの朝、福井の市街地を起点にクルマを走らせ、県の南の方角にある池田町へと向かう。街を抜けて、国道158号、国道417号を走り継ぎ、山に向かってドライブしていると、ワインディング路が増えてきた。クロストレックのステアリングの応答性が気持ちよい。山合いの田園地帯を1時間ほど走ると「ツリーピクニックアドベンチャーいけだ」にたどり着いた。森林が町の9割を占める池田町の特性を活かした自然の中のテーマパークで、子どもから大人まで楽しめるアスレチックやアトラクションが体験できる。
ここを訪れた目的は「メガジップライン」。60mという日本最大級の地上高に全長約1km(ファーストライン480m、セカンドライン510m)と国内屈指の距離を誇り、山の尾根間に張られたワイヤーケーブルを滑空する。早速、体験するべくハーネスを着用し、ファーストラインの出発地点であるスタートタワーへ。しかし、スタートタワーに到着すると、あまりの高さにワクワク気分から一転、緊張が走る。インストラクターから飛行についてのレクチャーを受けたあと、覚悟を決め、「3、2、1、 GO!いってらっしゃい!」の掛け声とともに、大空へ飛び立った。全身で風を切って、森の上をフライトする。
スタートから数秒は、怖さのあまり目を開けられなかったが、徐々に恐怖心が薄れ、景色を見る余裕が出てきて、まさに気分爽快。「鳥になるってこういうことか」と感じていると、ファーストラインのゴールが見えてきて、あっという間に降り立った。
次は、ファーストラインより長いセカンドラインに挑戦する。セカンドラインのフライトは先ほどよりもさらに余裕が出て、周りの景色も楽しんでいると、同じ森でも場所によってグリーンの濃さが異なることに気づく。木々のグラデーションを愉しめるのもジップラインの醍醐味だと感じた。
メガジップライン(ファーストライン)の滑空時間は約1分。地上60mの涼やかな空気の中、鳥になって空を飛んでいるかのような体験ができる。
滑空前の準備。モニターを見ながらハーネスを装着。
スタートタワーでインストラクターから最終の指南を受け、いざ出発!
場内を案内してくれたインストラクターの細川門士朗さんから、「樹上に設置されたハンモックでリラックスできる場所がある」と教えてもらい、ディスカバリーコースの中にあるピクニックゾーンを訪れた。樹上ハンモックの地点まで行くには、足元がゆらゆら揺れる木の板の上を歩く必要があるので、ここでもハーネスを着用する。
命綱があるとはいえ、最初の一歩を踏み出すには勇気がいったが、慣れてしまえば木の板の上をスイスイ進むことができ、まるでアクションゲームの主人公になったような気分だ。
無事、一人掛けのハンモック「鳥の巣チェア」まで到達し、しばしの間、鳥のさえずりを聴きながら樹上で何もしない贅沢を堪能した。
にこやかな笑顔が印象的なインストラクターの細川門士朗さん。
樹上ハンモック「鳥の巣チェア」で休息を楽しむ。
森の中の小さな「ツリーハウス」。それぞれ樹上12mに設置されている。下を見るとスリル満点だ。
パーク内に宿泊も可能。今年4月に完成した新築のキャビン。トイレ・お風呂・テラスを完備。
受付のあるセンターハウス。こちらでは随所に池田町の材木をふんだんに活用している。
マイクログリーンのアイスに
心身がほころぶ
森の中のアドベンチャーをひとしきり満喫して、福井市へ戻る。国道158号を走り、足羽川を渡って、あじさいの道通りという、ゆるやかな坂道を上る。木立の中のドライブを愉しむうちに、足羽山公園にたどり着いた。足羽山公園は、春は桜、これからの時期はあじさいが見頃となる地元の憩いの場で、散歩を楽しむ人も多い。
公園のパーキングにクロストレックを停めて、ここから先は歩いて足羽山の山頂付近へと進む。足羽山招魂社の石段を上がると、グリーンのガラス張りが特長的な佇まいの店が現れ、看板には「OTMアイスクリーム」と記されている。マイクログリーンを食材に使ったアイスクリーム店で、実店舗はここ、福井にのみある。マイクログリーンとは、発芽して1週間から3週間ほどの「若芽野菜」を指す。サイズは5cmにも満たない小ぶりな野菜でありながら、通常の野菜の5倍以上の栄養価があるそうだ。店内に入ると、ラボのような空間で、マイクログリーンがガラスケースに陳列されている。アイスクリームの種類やオーダー方法については、白衣姿のスタッフが丁寧に教えてくれた。
まずはサイネージで、マイクログリーンやアイスの種類について解説を受ける。
自然豊かな足羽山とのギャップを楽しんでもらおうと、あえて無機質な空間を目指したというシンプルな店内。
まず、ベースとなるアイスクリームをバニラ、ソイミルク、マスカルポーネからひとつ、ソース&トッピングを4種類からひとつ。マイクログリーンは20種類から最大3つまで選んで、オーダーシートに記入して店内の投函口へ投入する。
アイスとソースはすぐに決まったが、マイクログリーンはかなり迷った末、クセが少ないというレッドアマランサス、ロロロッサ、香り豊かなマリーゴールドをチョイス。さて、どんなアイスクリームが完成するだろう?わくわくして待っていると、オーダーしたアイスクリームがベルトコンベアに乗って流れてきた。マイクログリーンが彩り鮮やかで、見ているだけで涼やかな気分になる。アイスクリームを手に、店の階段を上がり、福井の街が一望できるスカイデッキで食べることにした。足羽山の新緑を目に、肌に心地良い風をうけながら、オリジナルのアイスクリームをいただく。バニラの甘みとマイクログリーンが生み出すほのかな苦みが見事にマッチしていて、これまで味わったことのない新感覚のおいしさに、あっという間に完食した。
ジップラインで見た光景とマイクログリーンのアイスクリームの滋味に満たされ、再びクロストレックに乗り込んだ。
①
②
①
②
③
アトラクション感覚で楽しめるようこだわったオーダーシステムが独特で面白い。
①専用のチェックシートに好きなアイスやマイクログリーンにチェックをつける。
②色がついている面に名前を書いて、店内のオーダーシート投函口へ投入後、お会計に(キャッシュレスのみ)。
③出来上がったオリジナルアイスクリーム。ベースはバニラ、ソースは有機オリーブオイル&ブラックペッパーにした。
チョイスしたマイクログリーンがあしらわれている。
福井の市街地が一望できるスカイデッキ。椅子も置かれているので、ゆっくり過ごせる。
足羽山公園のあじさいの道通りを走るクロストレック。取材時は、桜の頃に灯されていたぼんぼりが残っていた。梅雨時期はその名のとおり、あじさいが咲き誇るそうだ。
福井IC〜ツリーピクニックアドベンチャーいけだ〜
あじさいの道通り〜OTMアイスクリーム
ツリーピクニック アドベンチャー いけだ
福井県今立郡池田町志津原28-16
TEL: 0778-44-7474
OPEN:9:00~17:00(3月中旬~12月上旬)
火・水曜日休(GW・夏休み期間は無休)
※冬期の営業についてはHPを確認
https://www.picnic.ikeda-kibou.com/
OTMアイスクリーム
福井県福井市足羽上町111
旧ASUWAYAMADECK
TEL:0776-36-3733
OPEN:10:00-17:30(17:00L.O.)不定休
※店舗の駐車場は台数が限られておりますのでご注意ください。混雑している場合は、足羽山臨時交番前展望台の駐車場、または足羽山公園内の駐車場もご利用いただけます。
https://otmicecream.jp/
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