積雪のあった翌朝、層雲峡温泉から三国峠に向けて国道273号をドライブ。道路に積もっていた雪が時折風で舞い上がり、朝陽にキラキラと瞬いて。
Touring with SUBARU
氷と雪の織りなす
美景を訪ねて
北海道上川町〜上士幌町
積雪のあった翌朝、層雲峡温泉から三国峠に向けて国道273号をドライブ。道路に積もっていた雪が時折風で舞い上がり、朝陽にキラキラと瞬いて。
毎年1月下旬〜3月中旬に開催される氷の祭典・層雲峡温泉氷瀑まつり。その製作現場を訪ね、クォーツブルー・パールのSUBARU XV 2.0 e-S EyeSightで雪化粧した大雪山国立公園内の国道をドライブ。ルート上に点在する、道内国道最高所の峠や壮大な絶景橋、旧国鉄士幌線の廃線遺構に出会い、雪見露天風呂も満喫!冬の北海道ならではの美景だけでなく、知られざる歴史も垣間見ることに。
石狩川の清水で造る氷瀑
クルマの右上に見える矢印は、道路の端を示すもの。道路に雪が積もると走行レーンが見えなくなるため、この矢印を参考にして走る。
12月中旬の早朝、発売されて間もないSUBARU XV 2.0 e-S EyeSightで、旭川市街から国道39号で層雲峡方面へと走る。さっきから粉雪が散らついているものの路面は圧雪されておらず、所々がアイスバーンに。聞けば積雪量は例年の半分程度。スピードを抑えめにブレーキをむやみに踏まなければ、徐々に感覚が掴めてくる。路面や走行状況に応じて四輪に最適な駆動力が配分されるシンメトリカルAWDに加え、凍った路面でのスタート時など不安な場面ではX-MODEを使えばさらに安定した走りができるから心強い。
開催時期にはカットされるという、氷柱の先端は水晶のような美しさ。
今回は宇宙ステーションをイメージした氷像がメイン。氷像内のトンネルはくぐることができる。夜は7色の光でライトアップされ、幻想的な光景になるという。
運営スタッフが約2ヶ月間、毎日のように風や気温、氷柱の出来具合を見ながら清水を当てる場所を選び、放水し続ける。氷瀑製作は大変手間のかかる作業だ。
目的地は大雪山系最大の温泉地・層雲峡温泉。石狩川沿いに連なる切り立った峡谷は、柱状節理の岩壁が屏風のように立ちはだかり圧倒される。ここでは毎年1月下旬〜3月中旬に「層雲峡温泉氷瀑まつり」が行なわれる。製作中の現場を見せていただくと順調に氷瀑が育っていた。長い氷柱が幾筋も下がりうっすらと青く染まって見える。氷瀑のもととなっているのは、石狩川の豊かな伏流水。それを濾過し、80本のホースをそれぞれ鉄製の三脚に固定、移動しながら放水し仕上げていく。イベントは今年で45回目、北海道の冬のイベントの先駆けだ。「夏や秋に比べて観光客の少ない冬に人を呼べる手だてはないかと考え、道内の造形作家とともに氷瀑を製作したのが始まり。今年のテーマは銀河系です」と層雲峡観光協会の中島慎一さん。
会場には高さ約13mの建造物が道産カラマツの木組みを基礎に造られ、トンネルをくぐると頭の高さにまで氷柱が長く伸びている。「開催時には安全面を考えて氷柱を短くカットするので、ありのままの氷柱が見られるのは今だけ」と中島さん。雪が積もると氷の強度が弱まるため雪をかき出したり、床に落ちた水が凍って床面が上がるたびに氷を切り出したりと、完成までにはかなりの手間がかかる。自然が相手なので人間の思い通りに進まないのが苦労する点だそう。寒さの力を借りて造る氷瀑に暖冬は大敵なのだ。
さらに進むと本物の氷瀑にも出会える。白糸のように流れる銀河の滝は氷結、力強く流れる流星の滝は水量が多いため完全には凍りつかない。これら2つの氷瀑が、氷瀑まつりの原点となったのである。
完全に氷結した「銀河の滝」の手前は駐車場なので、空いていればクルマを停めての撮影も可能。クォーツブルー・パールのボディが、冬の青空と雪と氷の白銀に映える。
旧国鉄の廃線遺構めぐり
「ビアグリル キャニオン」の層雲峡渓谷照焼ハンバーグセット(ライスまたはパン、サラダ、スープ付き)1150円。
マネージャーの斉藤幸裕さん(右)と、シェフの平松学さん(左)。
ドライブ前にお腹を満たしておこうと温泉街の洋食店「ビアグリル キャニオン」へ。カジュアルな雰囲気の中、地元食材を活かしたイタリアンと洋食メニューが味わえる。中でも上川町産の渓谷[けいこく]・味豚[みとん]を使ったハンバーグは脂に甘みがあってジューシー。愛別町の舞茸や道産のジャガイモ、フライドオニオンが照焼きソースに絡み、当麻町産ななつぼしのライスとよく合う。他にもニジマスやヤマメ、エゾシカを使ったメニューも必食。
32mアーチを持つ第三音更川橋梁は、鉄筋コンクリートアーチ橋としては道内一の径間を誇る。元小屋ダムの湖面に影を落とす様は息を飲む美しさ。国登録有形文化財。
さらに国道273号を進むと道内国道最高所の三国峠に到達。標高1139mの展望所からは大雪の山々と裾野に広がる原生林が一望でき、爽快!三国峠から南下した十勝三股でシカの親子を見かけてクルマを停める。白樺林に囲まれたこの辺りはかつて旧国鉄士幌線の終着駅「十勝三股駅」のあった場所で、駅名標が残されている。林業で繁栄した時代の賑わいが嘘のように、今は2世帯のみが静かに佇む。この先に旧国鉄士幌線のコンクリートアーチ橋が国道沿いに14カ所残され、往時の様子を物語る。これらは1936〜55年に建設され、その約半数が国の登録有形文化財。工費を抑えるため現地調達の砂利や砂を用いて造られたアーチ橋は、その使命を終えた今も音更川の渓谷美に溶け込んでいる。中でも幻の橋として知られるのが、糠平湖に1月頃〜夏頃限定で姿を現すタウシュベツ川橋梁。ダムの水が少ない1月頃から氷結して姿を現すのだが、訪れた日はまだ橋梁は水面下20cmにあり、残念ながらご対面とはいかなかった。
「糠平舘観光ホテル」の混浴露天風呂「仙郷の湯」。館内から階段を40段ほど降りた、糠平川に面した場所にひっそりとある。水着着用可。
この糠平湖の湖畔には2019年に開湯100周年を迎えたぬかびら源泉郷が広がる。8軒ある温泉宿は全て源泉かけ流し宣言をするほど湯量が豊かだ。創業75年の「糠平舘観光ホテル」には混浴露天風呂と男女別の露天付き大浴場があり、日帰り入浴もできる。自然林に囲まれた野趣溢れる露天風呂は待望の雪化粧に。さらっとした感触の湯は清涼感があり、美肌の湯と名高い。川のせせらぎも耳に心地いい。タウシュベツ川橋梁が現れるまで、あと1週間。層雲峡温泉氷瀑まつりまで、あと1ヶ月。まだ帰りたくない…。後ろ髪を引かれる思いでぬかびら源泉郷を後にした。
夕陽が照らし出す雪原の向こうには、まっすぐに伸びるカラマツの防風林がシルエットに。SUBARU XV 2.0e-S EyeSightと十勝平野の酪農地帯にて。
今月のルート
旭川市〜
層雲峡温泉 氷瀑まつり〜
ビアグリル キャニオン〜
三国峠〜
糠平舘観光ホテル
第45回層雲峡温泉 氷瀑まつり
北海道上川郡上川町層雲峡温泉(特設会場)
TEL 01658-5-3000(氷瀑まつり会場)
開催期間:2020年1月23日(木)〜3月15日(日)
開催時間:13:30~21:30
※2月4日(火)〜11日(火・祝)は9:00〜21:30
定休日:期間中無休
料金:協力金として500円
(協力記念のポストカードと甘酒1杯無料券を進呈)
http://www.sounkyo.net/
hyoubaku/overview/
ビアグリル キャニオン
北海道上川郡上川町
層雲峡キャニオンモール
TEL 01658-5-3361
営業時間:11:30~15:30、17:30〜21:00
(20:00LO)※変更の場合あり
定休日:11〜4月は水曜
※氷瀑まつり開催期間中は無休
※メンテナンス、その他で臨時休業する場合あり
http://bg-canyon.com
糠平舘観光ホテル
北海道河東郡上士幌町ぬかびら源泉郷北区48-1
TEL 01564-4-2210
宿泊料金:1室2名利用で1泊2食付き8400円〜
日帰り入浴営業時間:11:30〜21:00
(最終入館20:00)
日帰り入浴料金:大人1000円
(タオルセット1200円)
http://www.nukabirakan.com
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