とうもろこし街道にある「きらく庵」。店頭では焼きとうもろこしの他にも、高原野菜や手作りのくるみ餅、片品村産尾瀬トマトを100%使用したトマト焼酎などを購入できる。 Photographs● 成田伸也
SUBARU on the Road
夏をほおばる!
群馬県沼田市~利根郡片品村
とうもろこし街道にある「きらく庵」。店頭では焼きとうもろこしの他にも、高原野菜や手作りのくるみ餅、片品村産尾瀬トマトを100%使用したトマト焼酎などを購入できる。 Photographs● 成田伸也
今年は例年よりも梅雨明けが早く、6月下旬の都内では最高気温が35℃を超える猛暑日が続いた。そのせいか、すっかり気分は夏に。こうなったら夏を満喫しようと、夏の味覚を求めて旅に出ることにした。旅先に選んだのは群馬県。果樹園が多く、フルーツ狩りを楽しめる沼田市と、甘くて美味しい高原野菜をいただける片品村を目指す。お腹をすかせてレガシィ アウトバックに乗り込んだ。
季節の香りに誘われて
沼田市までは都心から関越自動車道経由で2時間ほど。アイサイトXがカーブや料金所前など幅広い場面で、アクセル・ブレーキ・ステアリング操作をアシストしてくれ、快適な高速巡航となった。沼田ICを降りて片品・川場方面へ2分ほど走ると、最初の目的地「果実の里 原田農園」に到着する。こちらの農園では通年で味覚狩りを楽しめる。取材時はさくらんぼが旬で、平日にもかかわらず多くの人で賑わっていた。隣接する渋川市や昭和村にも原田農園の農地があり、全て合わせると東京ドーム約10個分の広さだ。農園で採れた果物で作った加工品も人気で、乾いた喉を潤そうとりんごジュースをいただいた。8月下旬~12月上旬のりんご狩りの時期に限らず、一年を通してりんごの美味しさを届けたいと誕生した商品だ。砂糖やはちみつ不使用で、りんご本来のフルーティーさと自然な甘みが口いっぱいに広がった。
きゅうりのつるがぐんぐん成長し、8月には緑のトンネルができる。
8月に味覚狩りを楽しめるぶどうと桃。収穫時期にはまだ早いものの、ほんのりピンクに色づいた桃は、既に甘い香りが漂っていた。
原田農園の野菜を担当する今井吉勇(いまいよしお)さん。最大100名ほどのスタッフが、丹精込めて果物や野菜を育てている。
片品村を目指して、国道120号を進んでいく。ここからはひたすら道なりだが、適度な速度で走り抜けられる気持ちの良いカーブが続き、山々が近く景観も抜群なので、飽きることなくドライブを愉しめる。お目当ては、昼夜の寒暖差によって、甘く美味しいと評判の片品村の高原野菜だ。尾瀬大橋を過ぎたあたりから、約5kmにわたり焼きとうもろこしの直売店が並ぶ「とうもろこし街道」に入る。立ち寄った「きらく庵」は街道で2番目にできたお店。「皮をむくのは絶対に注文が入ってから。食感が全然違うよ」と店主の須藤かつみさんが教えてくれた。焼き上がるのを待っていると、香ばしい香りに誘われて次々とお客さんが来た。待つこと5分。さらっと生醤油を塗って出来上がりだ。食欲をそそる香りにせかされ思いきりかぶりつく。一粒一粒の実の甘さやシャキシャキ感に驚いていると「8月はもっと甘くなるよ」と須藤さん。夏休みの予定がひとつ決まった。
国道120号にあるとうもろこし街道の看板。とうもろこし街道の最盛期は8月だ。オータムグリーン・メタリックのレガシィ アウトバックは光の当たる角度によって違った表情を見せる。
焼きとうもろこしは1本400円。炭火で火を通すことで香ばしく仕上がる。
気さくに話しかけてくれる「きらく庵」店主の須藤さん。雑談しながら焼き上がりを待つのも楽しみのひとつだ。
お店に飾ってある乾燥とうもろこしが趣深い。
片品村の“みのり”をいただく
きらく庵を後にし、今回の旅の最終目的地を目指す。国道120号を南下し、尾瀬大橋から5分ほど進むと「農家レストラン みのりの里」に到着する。こちらは星野一さん、敦子さんご夫妻が経営する「みのり農場」直営のレストランで、畑で育った元気な野菜を味わえるお店。その日のメニューに使われている野菜は店内のボードで確認できる。季節の野菜をのせたライ麦ピッツァや、群馬県産の下仁田ミートの豚肉を使用したスペアリブのトマトソース煮など、ボリュームたっぷりの料理がメニューに並ぶ。あれこれ悩んだ結果、一番人気の夏季限定メニュー「トマスパ」(1100円)を選んだ。このパスタの主役はトマトだ。使用している桃太郎トマトは、病気になりやすく、実がつきにくいため、大量生産には向かない品種。しかし、身がしっかりしていて、酸味と甘みが絶妙な美味しいトマトなのだ。青い段階で収穫される市販のトマトとは違い、真っ赤に熟してから収穫するため、より美味しくなるのだそう。デザートには片品村特産の花豆を使った焼きプリン(450円)をいただく。片品村農産加工コンクールで最優秀賞を獲得したこともあるプリンは、ほろほろと優しい口当たりで、花豆の香りがふわっと鼻を抜けた。
橋の上から尾瀬国立公園の雄大な景色を楽しめる尾瀬大橋。
「農家レストラン みのりの里」は緑に囲まれた癒しの空間。
お店の入り口には可愛らしい看板が。
約8000坪の敷地では、「桃太郎トマト」をはじめ、優しい甘さが特徴の「モロッコインゲン」や皮の赤いじゃがいも「レッドムーン」など、様々な農作物を育てている。
開放的なテラス席でいただく料理は格別。
みのり農場では、野菜の収穫体験と農家民宿も行なっており、収穫体験は予約なしでも可能なので、レストランで食べて「美味しい」と思った野菜を収穫して持ち帰ることができる。「トマト嫌いの人にも『騙されたと思って』と言って採れたてのトマトをかじってもらうんです。そうするとトマトの甘さにすごく驚かれるんですよ。片品村の素晴らしさを体感してもらいたい。農家だからできることをやりたいんです」と敦子さんが楽しそうに熱い思いを語ってくれた。お腹も心も満たされ、レガシィ アウトバックに乗り込んだ。
ランチは全てスープとミニサラダ付き。写真は一番人気の「トマスパ」。
写真は花豆の焼きプリン。花豆のアヒージョ風(570円)もおすすめ。
果実の里 原田農園~きらく庵
~農家レストラン みのりの里
果実の里 原田農園
群馬県沼田市横塚町1294
TEL:0278-22-3991
営業時間 9:00~17:00
(最終入園16:00)※冬季時間有
※各コース要予約
※お盆の時期にはバーベキューやマス釣りなどのイベントも開催予定
http://www.harada-nouen.com/
きらく庵
群馬県利根郡片品村大字
東小川3463-1
TEL:0278-58-3526
営業時間 9:00~17:00
定休日 不定休
農家レストラン みのりの里
群馬県利根郡片品村菅沼360
TEL:0278-58-3538
営業時間 11:00~15:00(L.O. 14:50)
定休日 月曜・第3火曜日
祝日の場合は営業、振替休日あり
4月下旬から11月末までの季節営業
※農家民宿「シャレーみのり」では宿泊特別割引キャンペーンを9月3日までの期間限定で実施中!詳細はホームページをご確認ください。
https://minorifarm.wixsite.com/website
注)新型コロナウイルス(COVID-19)の感染予防のため、営業時間・営業内容に変更が生じる場合があります。事前に各スポットへお問い合わせください。
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