JR高崎線の深谷駅は、平成8(1996)年に現在の駅舎に改装された。「関東の駅百選」にも選出されている。
Photographs●成田伸也
SUBARU on the Road
ノスタルジーに浸る、
埼玉レトロ旅
埼玉県深谷市~ときがわ町
JR高崎線の深谷駅は、平成8(1996)年に現在の駅舎に改装された。「関東の駅百選」にも選出されている。 Photographs●成田伸也
レトロな喫茶店や昭和の名曲などが若者の間で人気を博している昨今。ノスタルジーを感じさせる古き良き時代のものには世代を問わず人を惹きつける力があるのかもしれない。ノスタルジックな雰囲気を味わいたいと、レトロなスポットが豊富な埼玉県へ。今回の旅の相棒に選んだのはインプレッサ SPORT。艶があり上品なマグネタイトグレー・メタリックのボディカラーは、レトロな街中でどんな表情を見せてくれるだろうか。
煉瓦[れんが]の街の
歴史をのぞく
レトロなスポットを目指しインプレッサ SPORTで向かったのは埼玉県・深谷市。
「近代日本経済の父」と言われる渋沢栄一が生まれた地である。今年のNHK大河ドラマの主人公であり、新一万円札に肖像画が描かれる人物のゆかりの地とあって、今、注目を集めている街だ。かつて深谷には、渋沢栄一が明治20(1887)年に設立した日本で最初の機械式煉瓦工場があり、そこで生産された煉瓦は東京駅や日本銀行をはじめ多くの近代建築物に使用された。そんな煉瓦にゆかりのある深谷市内では、当時を感じさせる煉瓦造りの建物を見ることができる。
窯場に隣接して建てられた高さ約20mの煉瓦煙突が象徴的。
旧中山道・県道265号沿いを走っていると煉瓦造りの煙突が目に入った。見慣れない光景に惹かれて立ち寄ったのは、今月号の表紙を飾った「七ツ梅酒造跡」だ。こちらは元禄7(1694)年に創業し300年の歴史を有した老舗蔵元の酒造跡。約950坪の敷地内には、母屋、店蔵、煉瓦造りの精米蔵、煉瓦煙突など歴史的・文化的に価値のある建築群がのこされている。一歩足を踏み入れると、別の時代に迷い込んでしまったような気分になる。映画やドラマのロケ地として使われることが多いのも納得だ。現在は、蔵などを利用して映画館や古書店、カフェなどが入った深谷の人気スポットとなっている。「深谷シネマ」は、上映する作品をお客様アンケートで決めたり、デジタルが主流の今も年に数回はフィルム映画を上映したりと、観る人に寄り添った“街なか映画館”ならではの温かさが魅力だ。「街なかの映画館を作る」という活動に賛同した多くの映画監督や役者もここを訪れるのだそう。
奥に見えるのは大正3(1914)年に深谷の煉瓦で作られた精米蔵。
看板は映画の撮影で実際に使われたもの。
旧中山道側から入り正面通路を進むと中庭にでる。
映画館の座席数は60席。防音の親子ルームがあり子ども連れでも楽しめる。
もう少し煉瓦の街を堪能しようと文久3(1863)年創業の「滝澤酒造」へ。煙突や麹室、製品を貯蔵する蔵が煉瓦で建てられているのだが、当面の間は感染症対策として蔵見学が中止なので、今回は外からの眺めを楽しんだ。滝澤酒造からクルマで5分程走るとJR高崎線の深谷駅につく。駅舎は東京駅をモチーフにしたノスタルジックな雰囲気だ。駅の近くには、街を見守っているかのように渋沢栄一の銅像が建っていた。
「滝澤酒造」横の路地から撮影したインプレッサ SPORT。
「滝澤酒造」は明治33(1900)年に深谷で蔵を構え、銘酒「菊泉」は深谷の地酒として長年親しまれている。
懐かしくて温かい場所
次に訪れた「ビデオゲームミュージアム ロボット深谷店」は店内にある約200台の筐体[きょうたい]のうち、1980〜90年代に主流だったレトロゲームを100台以上設置しているゲームセンターだ。これほどの数が揃うと、シューティングゲームや格闘アクション、パズルゲームなど種類も豊富で、定番タイトルからマイナー作まであるのが嬉しい。公式Twitterでの稼働状況のお知らせや、YouTubeでのプレイ状況の配信など、今だからできるサービスもありがたい。今では珍しいブラウン管の画面を見つめながら、どのゲームを楽しもうかと店内を歩き回る時間さえ楽しい。大好きだったキャラクターのゲームを発見した時には、思わず童心にかえってしまった。久しぶりに触れるレトロゲームの操作感覚に最初は緊張していたけれど、次第に昔の感覚が蘇ってきて、あっという間に夢中になっていた。
レトロゲームが整然と並んでいる様子は圧巻。壁にはハイスコアラーのネームと得点が掲載されている。
比企郡小川町ののどかな風景の中を走るインプレッサ SPORT。
お店を後にして県道184号本田小川線経由で40分ほど南下する。のどかな田園風景が広がる埼玉県中部の比企郡ときがわ町で「昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉」に立ち寄った。館内は、まるで昭和にタイムスリップしたかのような雰囲気。テラスや浴場には日本で3人しかいない銭湯絵師の一人・田中みずきさんのペンキ絵が飾られている。支配人の新井志野さんが「昭和レトロは、おじいちゃんやおばあちゃんには懐かしく、若い子には目新しいもの。家族三代で楽しんでいただけたら」と話してくれた。昭和レトロな空間は、平成生まれの私にとっても、どこか懐かしく居心地のいい場所だった。
レトロな場所を巡った今回の旅。インプレッサでタイムスリップしたようで、その時代を知らないはずなのに懐かしい気持ちを味わえる旅となった。
昨年惜しまれつつも閉業した川越市の最後の銭湯「旭湯」など、近隣の閉業銭湯の番台やタイル絵などを活用したテラス。
館内には、閉店した地元銭湯の備品や常連のお客さんから譲り受けた懐かしの家電などが展示されている。
子どもの頃に憧れたお子様ランチを思わせる「レトロプレート」(1,380円・税込)。
七ツ梅酒造跡~深谷シネマ~滝澤酒造~深谷駅~
ビデオゲームミュージアム ロボット深谷店~
昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉
ビデオゲームミュージアム ロボット深谷店
埼玉県深谷市上柴町西4-12-1
TEL 048-573-3951
営業時間 10:00~24:00
https://twitter.com/vgm_robot
昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉
埼玉県比企郡ときがわ町大字玉川3700
TEL 0493-65-4977
営業時間 (平日)10:00~22:00(土日祝日)5:00~22:00(最終入館21:30)
料金 大人1人(平日)880円/(土日祝日)980円(大人会員は930円)
※入浴料含む。朝割(8:00まで。土日祝日のみ)、夜割(20:00以降)あり
https://tamagawa-onsen.com/
注)新型コロナウイルス(COVID-19)の感染予防のため、営業時間・営業内容に変更が生じる場合があります。事前に各スポットへお問い合わせください。
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