朝晩めっきり凌ぎやすくなった9月の終わり、秋を探しに群馬北部へ。マグネタイトグレー・メタリックのインプレッサ スポーツで「利根沼田望郷ライン」から「日本ロマンチック街道」へと走り抜けます。途中、名刹や新そばに出会い、色づく自然にふれあって、上州の名湯で温もるうちに、心も体もほっこりできるはず。
関越自動車道昭和ICを降り、最初の交差点を左折すると「利根沼田望郷ライン」に入っていく。ここは赤城山の西麓から北麓へとぐるりと周る広域農道。あまり知られてはいないが、雄大な風景と細やかなワインディングが楽しめるとあって密かな人気を集めている。しばらくは見渡す限りの畑の中を突っ切る直線道路が続く。北の大地を思わせるようなスケールで、抜けるような青空の下、疾走する気分は爽快!レタス畑がある一方、見慣れない白っぽい葉が一面に広がる畑が続く。聞けばこんにゃく芋畑だそうで、これが名産のこんにゃくになるのかと納得した。直線道路の終わる「貝野瀬[かいのせ]ビューポイント」に立ち寄れば、大峰山[おおみねやま]、三峰山[みつみねやま]、戸神山[とかみやま]の奥に白根山[しらねさん]、三国山[みくにやま]、谷川岳などの大パノラマが広がり、見晴らし抜群。道路脇の標識をチェックしながら進むと、白沢町高平にもビューポイントが。小高い展望台からは山々の裾野に「沼田の河岸段丘」が美しく広がる。片品川の流れに沿って発達する階段状の地形のことで、段々の美しさは日本有数だ。
再びクルマで道なりに進むと「青龍山[せいりゅうざん] 吉祥寺[きちじょうじ]」が現れる。南北朝時代の暦応[りゃくおう]2(1339)年に創建された臨済宗の禅寺で、文化12(1815)年に再建された入母屋造りの荘厳な山門が出迎えてくれた。3月の水芭蕉から10月の彼岸花まで100種類以上の花が途切れることなく咲き続き、10月下旬〜11月下旬は紅葉が見頃に。境内随所で楽しめる中、一番の見どころは本堂を囲む庭園。枯山水の臥龍庭[がりゅうてい]、川場産の武尊石[ほたかいし]を配して昇龍を表現した昇龍の滝、青龍の滝が流れ込む池泉[ちせん]庭園と3つの趣の異なる庭園を巡ることができる。抹茶と季節の和菓子をいただきながらじっくりと見入った。売店では疫病退散のシンボル、アマビエの張り子を発見。高崎だるまの工房によるもので、旅の守り神にと購入した。県道266号に突き当たり北へ。透門橋のたもと「生そば 下山[しもやま]」の暖簾をくぐる。
群馬はうどん文化圏と思いきや、この辺りはそば店の激戦区。その中でこの店は「迦葉山[かしょうざん] 弥勒寺[みろくじ]」の門前のそば処として明治初期に創業した。品書きは三代目の下山聡さんが打つそばとそのお供のみ。秋は赤城深山[あかぎみやま]産の常陸[ひたち]秋そばを二八で提供する。玄そばから外皮を取り除いた丸ぬきを使い、甘皮の淡い緑が美しい細打ち。荒おろしをのせたそばに焼き味噌が添えられた、焼みそおろしせいろを注文する。まずはつゆにくぐらせてつるり。そばの香りと甘みが迫る。次に焼き味噌をつゆに溶いていただくと、上品な味噌の風味に香ばしさが加わって美味い。「江戸時代のそば切りは味噌を水で溶いたつゆで食べていた、という一説にヒントを得ました」と店主は話す。
お腹が満たされたところで来た道を戻り、今度は国道120号・通称「日本ロマンチック街道」で北上する。長野県上田市から栃木県日光市に至る全長約320kmの街道名は、ドイツのロマンチック街道を思わせる自然景観から名付けられた。国道120号に入って10分ほどで紅葉の名所「吹割[ふきわれ]の滝」入口に到着。クルマを停め、奇岩が続く片品渓谷の遊歩道を歩いていくと突然、岩盤が大きく口を開け渓流を飲み込んでいる。幅約30m、高さ約7mの名瀑は「東洋のナイアガラ」と呼ばれる。10月下旬〜11月上旬には切り立った崖が鮮やかな紅葉に覆われ、目を楽しませてくれるという。
インプレッサでさらに北上し、片品村役場隣の「道の駅 尾瀬かたしな」でひと休み。2年前にオープンした新しい道の駅で、尾瀬大橋を望む展望テラスには足湯がある。300m先で湧出する鎌田温泉「尾瀬の湯」の源泉は50℃。そのまま注がれているため、湯は熱め。次第に足の疲れがほぐれ、体の芯からぽかぽかしてくる。農産物直売所には地元農家によるリンゴやレタス、マイタケがずらり。店内でひと際目を引くのがトマトジュースのコーナー。農家ごとのラベルが貼られた1L瓶は10種類以上。水を加えないストレートが大半で塩入りもあり、飲み比べも楽しそう。「この先にある丸沼ダムを忠実に再現したダムカレーも好評です。ダムに行って写真を撮ってきていただくと、ダムカードを差し上げています」と駅長の星野重雄さんから嬉しい情報が!
丸沼ダムは昭和初期、日本に8基しか造られなかったバットレス式ダム。現存する6基のうち最大規模で国の重要文化財に指定され、かねてから足を運んでみたかったのだ。丸沼までの道は「とうもろこし街道」と呼ばれ、夏から秋には農家が店を構え、店先でとうもろこしを焼く風景が見られる。この辺りから標高はグングン上がり、取材した9月下旬でも色づく木々がちらほら。急坂が続くワインディングロードのタイトなコーナーでさえ、しなやかにこなしていくパワフルさが頼もしい。ダム駐車場にクルマを停め、丸沼自然遊歩道を10分ほど下ると、湖畔右手にワッフルのような堤体がそびえる。丸沼ペンション村の有志による手作りのドラム缶筏「トムソーヤ号」に乗り込み、ロープを引っ張ってダムの正面へ。湖面から迫り上がるように全景が映えて、壮観。冒険気分も楽しめた。栃木との県境・金精峠まであとわずか。標高2024mまで一気に駆け上がろう。
今月のルート
今月の紹介ポイント
群馬県利根郡川場村門前860
TEL 0278-52-2434
拝観時間:9:00~17:00
(最終受付16:30)
※季節・天候により変更の場合あり
拝観料:大人500円
無休
http://www.kitijyouji.com/
群馬県沼田市上発知町199-2
TEL 0278-23-9526
営業時間:11:30〜15:00
(売り切れ次第終了)
定休日:火曜
※入店は1グループ4名まで
群馬県利根郡片品村大字鎌田3967-1
TEL 0278-25-4644
営業時間:9:00〜18:00
(施設により異なる)
定休日:第4火曜(12~3月は毎週火曜)
※足湯は冬季休業(12〜4月頃)
https://oze-katashina.info/michinoeki/
群馬県沼田市利根町追貝
TEL 0278-56-2111
(沼田市利根支所観光係)
営業時間・定休日:見学自由
※12月中旬〜3月下旬は冬季閉鎖。遊歩道は夜間通行止め
観覧料:無料
http://www.city.numata.gunma.jp/
kanko/fukiware/index.html
群馬県利根郡片品村東小川
TEL 0278-58-3222
(片品村観光協会)
営業時間・定休日:外観は見学自由
※金精道路の冬季閉鎖中(12月下旬〜4月下旬)は通行不可
※ダムカードについてはダム訪問の証明(スマートフォンやデジカメ画面)、限定プレミア缶バッジについては、宿泊代金領収書や宿泊証明の提示が必要。
配布場所:片品村観光協会
8:30〜17:15
土、日、祝日及び年末年始は休館の場合があります。事前に片品村観光協会へお問い合わせください。
注)新型コロナウイルス(COVID-19)の感染予防のため、営業時間・営業内容に変更が生じる場合があります。
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