SUBARU on the Road
空と陸の
交通ミュージアムを
巡る旅
愛知県
愛知県
春時雨がしっとりと湿らせた路面をマグネタイトグレー・メタリックのレヴォーグGT-H EXで走り抜けると、道に隣接した滑走路からタイミング良くテイクオフした一機の航空機がかすみ雲を突き抜けて夕空高く舞い上がって行った。今月は航空機とクルマを扱った新旧2つの交通ミュージアム『あいち航空ミュージアム(AICHI MUSEUM OF FLIGHT)』と『トヨタ博物館(TOYOTA AUTOMOBILE MUSEUM)』を訪れた。開催中の企画展を、現地に行かなければ入手できないオリジナルグッズやグルメ情報と合わせてご案内。
2017年11月に県営名古屋空港の敷地内にオープンしたあいち航空ミュージアムは昨年7月、累計来館者数100万人を数えた。今回取材にご対応いただいたミュージアム運営部の内藤恵子さんは、この人気の背景にはボランティアスタッフとして活躍している45名のガイドの存在が欠かせないという。
「愛知県を中心とする中部エリアには航空宇宙産業が集まっていて、当館では元パイロットやディスパッチャー、航空機の設計や製作に携わっていたエンジニアなどOBの方々を中心に、航空機を愛する方々がボランティアガイドとして協力してくださっています。彼らと触れ合い、専門的な知見に基づいたお話をお聞きいただけるのは当館ならではの特徴と言えます」
今回はボランティアの花岡哲司さんに案内していただいた。
「ここでは一機ずつ手作りで組み立てられた、1/25スケールの超精密模型100機を展示しています。内側もきちんと作られていて、よく見ていただくとシートベルトまで精密に再現されているのが分かります」
これらの模型は1981年名古屋空港国内線ターミナルの竣工にあたり、航空界の第一人者木村秀政氏の選定で製作されることになったもので、その当時までに日本の航空史に登場した1000種を超える航空機の中から活躍したもの、先駆的役割を果たしたもの、技術進歩に貢献したものを100種選定したという。
「すべて同縮尺で作られているため、機体の大きさの比較ができるだけでなく、YS-11は実機が1階に展示してあるので実物の大きさをイメージしていただくこともできます」と、花岡さん。YS-11は第二次世界大戦後初めて日本で開発された旅客機で、名古屋空港で初飛行した。Yは輸送機、Sは設計協会の頭文字で、11の最初の1は発動機の開発候補1番目、後ろの1は機体の開発候補の1番目を示しており、「じゅういち」ではなく「いちいち」と読むことなど、さらに詳しい情報を教えていただいた。1階には実機や実物大模型が展示されており、MU-300のところではこの機体を設計した中尾捷さん、製作に携わった桂川昇さんにお話を伺うこともできた。
富士重工業が製作した富士T-1初鷹866号機実機とT-1に搭載されている戦後初の純国産エンジン「J3ターボジェットエンジン」を開発するために作られた試作エンジン「XJ3エンジン」を展示。
国産飛行機開発の歴史と日本初の実用ジェット機・富士T-1初鷹の物語を、航空イラストレーター『リタイ屋の梅』氏が描くイラストパネルで詳しく解説しています。(22年9月30日まで)
1/72スケールプラモデル
零式艦上戦闘機五二型 ¥2,290-
ランウェイスケール30 ¥1,390-
ランウェイスケール15 ¥1,160-
Fun Blade(ミュージアムショップ)
10:30-16:00(平日)
10:00-17:00(土日祝日)
毎週火曜日定休(祝日の場合は翌日)
空飛ぶKUZUBAR
くずを使っているため形が崩れにくい航空機型のアイスキャンディー。FDAと地元和菓子店がコラボして作ったオリジナル商品で、FDAの機体色に合わせた12色がある。¥500- (あいち航空ミュージアムMOF CAFEのほか、FDA静岡空港、秀清堂(豊山町)でも購入できます)
MOF CAFE
11:00-15:00(平日)
10:00-16:00(土日祝日)
毎週火曜日定休(祝日の場合は翌日)
*価格はすべて税込
「トヨタ博物館は、トヨタ自動車創立50周年記念事業として1989年4月に開館しました。開館時は自動車販売や生産ではグローバル展開していった時代でしたが、クルマ文化ではまだまだ欧米に多くを学ぶべき段階であるということで、日本にクルマ文化を醸成することを目的に19世紀末のガソリン車誕生から1970年代頃までの日米欧の車両を中心に常設展示を構成していました」
そう話してくれたのは副館長の佐藤友美さん。今回はオープン当初から変わった部分を中心に見所を紹介していただいた。まずご案内いただいたのはスマートフォンにダウンロードして使える音声ガイドアプリ。クルマ館1〜3階に設けられたZone00から13までのガイドすべての案内を聞くと、移動時間を除いて約2時間かかるところ、主要車両のみを選んだ「お急ぎコース」の車両一覧リストを使えば約45分で回ることができる。
2017年のリニューアルで、展示体系を見直して現代の車両を追加し、2019年には文化館2階にポスターや切手、ミニチュアカーやティントイなどクルマにまつわる文化資料4000点以上を展示したクルマ文化資料室がオープンした。最近では「日本における自動車量産の幕開け」コーナーが今年の1月から公開され、1929年の日本製フォードモデルAや国立科学博物館蔵の、1925年製「白揚社 オートモ号」が特別展示されている。さらに4月16日には日本で自動車産業がいかに誕生し、産業として成熟していったかを紹介する「クルマづくり日本史」コーナーがオープン予定。クルマ好きなら1日でも足りない充実した展示だが、佐藤さんによると「クルマに関心がなかった方も、馬車のような形をしたクルマや煌びやかな外装のクルマを目にして、とても楽しんで帰っていかれます」ということだった。
2020年にはクルマ館ロビーでの挙式と館内での記念撮影をセットにしたウェディングも受け入れるなど、新しい取り組みも開始した。今年で創立33周年を迎えたトヨタ博物館は、クルマを展示するだけでなく、様々な人がそれぞれのアプローチでクルマと触れ合える、豊かな空間となっていた。
50年近く前から多くの日本メーカーが参戦し、2度にわたり日本車が年間全戦を制覇したWRC(FIA世界ラリー選手権)。会場はイラストレーター川下晴子さんが描いたマンガ仕立ての2.5次元イメージの空間とし、7社12台の参戦車両を展示して日本車の挑戦の軌跡を辿りながら、WRC挑戦の歴史を臨場感たっぷりに紹介しています。(4月17日(日)まで)
『The Museum of MOTION』
2017年発刊の本格的写真本。収蔵車両から85台の歴史的車両をテーマ別に30組にグループ分けして掲載。数千ショットから厳選した226枚の写真がクルマの魅力を鮮やかに訴える。トヨタ博物館ショップ限定発売。A3判変形 全296page厚さ35㎜ ¥11,000-
2000GT ホットドッグ(限定10食)
トヨタ2000GT発売50周年を記念して作られたメニュー。6気筒・4バルブDOHCをイメージしてソーセージ6本とトマト4切を使用。2000GTランチョンマット付。 ¥1,300-
牛ロースのステーキ丼オニオンソースサラダ仕立て
新任・菊地一弘シェフが考案したサラダ仕立てで食べられる新メニュー。 ¥1,380-
MUSEUMレストランAVIEW
ランチタイム:11:00-16:30(L.O.)
17:00CLOSE
ティータイム:9:30-16:30(L.O.)
17:00CLOSE
毎週月曜定休(祝日の場合は翌日)
*価格はすべて税込
今月のルート
今月の紹介ポイント
開館時間:9:30-17:00(入館は閉館の30分前)
休館日:火曜日(祝日、または振替休日の場合は翌日)
入館料:一般 ¥1,000-
TEL:0568-39-0283
開館時間:9:30-17:00(入館は閉館の30分前)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始。
入館料:一般 ¥1,200-
TEL:0561-63-5151
注)新型コロナウイルス(COVID-19)の感染予防のため、営業時間・営業内容に変更が生じる場合があります。事前に各スポットへお問い合わせください。
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