高塔山公園にある展望台からの眺望はまさに「宝石箱」のように輝いている。一際輝きを放っている赤い橋・若戸大橋は北九州市のシンボル。
Touring with SUBARU
今見たい夜景を巡る
北九州ナイトクルージング
福岡県北九州市
高塔山公園にある展望台からの眺望はまさに「宝石箱」のように輝いている。一際輝きを放っている赤い橋・若戸大橋は北九州市のシンボル。
寒さもゆるみ始めたとはいえ、まだ夜は長い。夜景を愉しむには、実は今がちょうどいい季節かもしれない。
夜景と言えば「日本三大夜景」の函館、神戸、長崎を思い浮かべる人も多いだろう。実は一般社団法人 夜景観光コンベンション・ビューローによって、2018年10月、「日本新三大夜景」に長崎、札幌、北九州が選ばれた。新しく選ばれたという北九州の夜景を見てみたいと思い、今回のツーリングでは北九州を巡ることに。旅のお供には、視界がよく、車内からの夜景も思う存分愉しめるフォレスターAdvanceを選んだ。
レトロな街で夜を待つ
「日本新三大夜景」とは夜景鑑賞士(夜景鑑賞士検定の有資格者)の投票で選ばれた上位3都市のことで、2015年に1回目の投票が行なわれ、長崎、札幌、神戸が選ばれた。そして3年に一度の再認定を行なった昨年、神戸にかわって北九州が選ばれたのである。
九州自動車道門司ICからクルマで10分ほど走ると、レトロな建物が現れる。このあたりは「門司港レトロ」地区といって、九州の玄関口として栄えた当時の面影を感じさせる旧大阪商船や旧門司税関といった古い建物が残る場所だ。交差点が多く、必然的にストップ・アンド・ゴーが多くなるが、フォレスターAdvanceの自然なブレーキフィーリングとアクセル操作のしやすさのおかげで、街中も快適にドライブすることができた。
門司港レトロ地区には古い建物が徒歩圏内にある。
駅の近くにフォレスターを駐め、門司港駅1階にある観光案内所でおすすめの場所を聞いてみることにした。2012年より6年以上かけての改修を経て、3月10日にグランドオープンとなる門司港駅。取材時はまだ工事中の所があったものの、1914年の創建当時の姿に復原された駅舎を見ることができた。国の重要文化財に登録されている門司港駅の堂々とした佇まいに、思わず圧倒される。過去にタイムスリップしたかのような感覚に浸りながら、観光案内所へ向かう。
観光案内所ではスタッフの胡 南[こ なん]さんと洞 亜由美[ほら あゆみ]さんが素敵な笑顔で出迎えてくれた。観光案内所の内装もレトロな雰囲気で、思わず見回していると「実はこの場所も、かつての一等、二等車両の乗客の待合室だった場所なんですよ」と胡さんが教えてくださった。北九州の夜景について質問すると、洞さんも「北九州は山と海が近く、起伏に富んだ地形です。また、九州の玄関口として栄えていた面影を残すレトロな建物が多いことに加えて、北九州工業地帯などがあり、バラエティーに富んだ夜景を見ることができます」とその魅力を語ってくださった。最後に夜景観賞のおすすめスポットを聞き、観光案内所を後にした。
門司港駅の切符売り場。昔の雰囲気を残している。
左から観光案内所スタッフの胡 南さんと洞 亜由美さん。
日が暮れるまでにまだ時間がある。門司港駅から10分ほど歩いたところにある旧門司税関の一角で人気のフルーツパーラー「Mooon de Retro」に立ち寄り、先ほどのアドバイスをもとにどこに行くかプランを練る。こちらのお店は、フルーツ販売店「Fruit Shop いかど」の社長が、こだわりのフルーツを使ったスイーツを提供したい、と始めた「Fruit Factory Mooon」の2号店としてオープンしたもの。店長のおすすめはフルーツパフェ。どれもカラフルで美味しそうで目移りしてしまう。窓からは海が見え、テラス席もあるので晴れた日には外でゆったり過ごすのもよさそうだ。
門司港レトロ店限定の「焼きバナナパルフェ」はバナナとカラメルソースの相性が抜群。食べ進めていくとバナナアイス、クッキー、オレンジジュレが現れ、味や食感の変化を楽しむことができる。門司港はバナナのたたき売り発祥の地なのだとか。
店内では果物やジャムなどの販売も。
旧門司税関は、1912年に建設された税関庁舎を1994年に修復・復元した建物。
今回立ち寄った「Mooon de Retro」以外にも、2階に常設の門司税関広報展示室、3階には関門海峡を行き交う船を一望できる展望室がある。
昼とは異なる顔を見せる
北九州の夜の色
和布刈公園(第二展望台)近くの駐車スペースでは、クルマの中からでも景色を眺めることができる。
日が沈み始める頃合いを見計らって、いざナイトクルージングへ。最初の目的地は和布刈[めかり]公園第二展望台だ。道中は想像以上に曲がりくねった山道。しかし、フォレスターAdvanceのモーターアシストによるタイムラグのない加速がカーブを抜ける時に心地いい。
目指す第二展望台は山頂にある展望台から少し下ったところにあり、ここからは門司港と関門橋が望める。関門橋ができる前、九州と本州をつないでいた門司港。陸路で九州と本州をつないだ関門橋。この地を外とつなぐ玄関口の今と昔を眼下に収めることができる。
旧大阪商船とフォレスターAdvance。旧大阪商船とは1917年に建設された大阪商船門司支店を修復したもので、オレンジ色のタイルと白い石の帯が調和したデザインの外観と八角形の塔屋が目印。夜になるとオレンジ色の灯りがつく。取材時、突然の雨に降られてしまったが、雨で濡れた路面に街の灯りが反射し、なんともノスタルジックな雰囲気だった。
和布刈公園(第二展望台)から見える関門海峡の夜景。目の前にそびえる関門橋とその向こう岸にある山口県下関、門司港が一度に堪能できる。
次に目指すのは工場夜景。山道を下り、国道199号線を小倉駅方面に30分ほど進んでいくと、小倉駅に近づいたあたりから沿岸部に工場地帯が見え始める。北九州工業地帯は、関門海峡から洞海湾[どうかいわん]にかけての東西30キロメートルに広がり、工場夜景のスポットも多い。今回は対岸に新日鉄住金化学(株)九州製造所が見える西港町へと向かう。そこで目にした工場の姿は光り輝く要塞のよう。もくもくと立ち上る煙、光が反射しているゆらめく水面は、ずっと見ていても飽きない。寒さも忘れて見入ってしまう。
新日鉄住金化学㈱ 九州製造所を対岸から見た景色。夜釣りをしている人の姿もちらほら。
最後に向かったのは高塔山公園。近くにある駐車場に着くと、やはり人気の夜景スポットらしく、平日の夜にもかかわらずクルマが何台も駐まっている。展望台からはどんな景色が見えるのだろうかと階段を上っていくと、目の前にカラフルな光がちりばめられた景色が広がる。街灯の青、住宅街の黄、奥に見える工場夜景の緑に、若戸大橋の赤が加わり華を添えていた。それはまるで宝石箱のようだった。
高塔山公園からの夜景。
夜景を巡った今回のクルージング。春は近いというもののさすがに夜はまだ寒い。すっかり冷え切った体をフォレスターのシートヒーターが包んでくれた。先程見た夜景を思い出しながら、若戸大橋を渡って帰路に着く。都市高速に入ってしばらく走ると、左手には工場夜景が目の前に広がる。高速道路の高さから見渡してみると、改めてその広さに驚かされる。夜の工場地帯が、昼間とは全く違う姿を見せるのが面白い。夜ならではの町の表情を見ることができた旅となった。
今月のルート
門司港レトロ〜門司港駅観光案内所〜
Mooon de Retro〜和布刈第二展望台〜高塔山公園
門司港駅観光案内所
福岡県北九州市門司区西海岸1-5-31 JR門司港駅1階
TEL 093-321-4151(門司港レトロ総合インフォメーション)
営業時間:9:00~18:00
休業日:なし
※3月17日までの期間限定で門司港全体のイルミネーション実施中。門司港駅グランドオープンに伴って、駅周辺でも3月中は花火などのイベントを実施予定。
Mooon de Retro
福岡県北九州市門司区東港町1-24旧門司税関1階
TEL 093-321-1003
営業時間:11:00~シーズンタイム
定休日:不定休
http://www.ff-mooon.com/mooon-de-retro
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