まだ世の中に“乗用四駆”という発想すら無かった1972年、SUBARUは快適な乗用車のキャビンと、悪路もしっかり走行できる四輪駆動を組み合わせたスバルレオーネ4WDエステートバンを発表しました。このクルマをルーツに、SUBARUは、機能性に優れ、街中や高速道路でも快適に使えるSUVを造り続けてきました。
現在は、お客様のライフスタイルに合わせてアウトバック、フォレスター、そしてSUBARU XVという3つのキャラクターのSUVをご用意しています。ジェントルな大人っぽさを持つアウトバック、タフで高い機能性を備えたフォレスター、それらに対してSUBARU XVは、遊び心を大切に、街中でも旅先でも愉しく使える気軽さを備えたSUVとして開発しました。
スポーティな装いを街中でカジュアルに着こなすという“スポカジ”を意識してデザインした先代SUBARU XVは、多くのお客様からご好評をいただきました。そこでご評価いただいたXVらしさとして、外すことができないポイントは「機能性とFUNを感じさせるクラッディング*」「個性的なホイール造形」「独特のカラーデザイン」です。新型ではこれら3つのXVらしさを、時代に合わせて進化させました。
この4年間で“スポカジ”で表現すべき事も変化があり、より軽快で動きがあり、質感の高いものになってきました。XVもSUVとしてより本格的な機能が与えられたので、デザインでも機能感を表現しつつ、より立体的で質感の高いものを目指しました。
*ホイールアーチやボディ下部に取り付けられる樹脂製パネル
SUBARU XVは、“Fun Adventure”をテーマにクルマの窓肩から上の部分と下の部分(ロワーボディ)との対比によって表現しています。上部は躍動感とシャープさを感じさせ、対するロワーボディはタフな力強さを持たせています。また、下回りをしっかりプロテクトすることで、クルマ全体として、厚みと縦基調のスタンス(たたずまい)を持たせています。
“スポカジ”デザインは、本格的機能を求めながら、どこかに少し外した遊びごころがあります。SUBARU XVのクラッディングも、必要な部分のみをカバーすることで変化を持たせた造形とし、このクルマらしい魅力となっています。新型ではこのクラッディングの表面造形(シボ加工)をより立体的なパターンに変更し、機能感、質感を高めました。さらにホイールも径を大きくし、動きを感じるダイナミックなデザインとしています。
クルマの顔ともいえるフロントグリルは、今回かなり思い切ったデザインにしました。通常、グリル周りには高級感を持たせるメッキパーツを用いるのですが、新型XVでは、SUBARU車のアイデンティティであるヘキサゴン(六角形)グリルにあえてクラッディングと同様のシボ加工を用いて艶消しのブラックとしました。これにより、中にあるモノを頑丈な外枠がしっかりとプロテクトするという機能を表現したのです。また、メッシュも、乗用車としては他に例が無いほど粗いサイズを採用しウイングには艶のある黒とクロームメッキ、あるいはシルバーの加飾を用いて安定感や躍動感を演出しました。
これほど大胆な造形のフロントグリルは、世界的に見ても他に例が無いのですが、“唯一無二のXVらしさを進化させる”ために、これを実現するのがSUBARUらしいところです。
クラッディングやフロントグリルの表面造形(シボ加工)は、従来モデルから、機能感を感じさせる“幾何学シボ”を採用していた。新型では、ひし形を積み重ねたような造形をさらに重層的に重ね合わせることで光の反射量を増やし、質感を高めている。
今月の語った人
商品企画本部 デザイン部
1976年東京都新宿生まれ。子どもの頃から好きだったのは、自分で作ったものを操ること。クルマのラジコンは小さい頃に始め、現在も楽しんでいる趣味のひとつ。「ラジコンも実際のクルマも操作の基本は一緒です。ポイントは急な操作はせず、スムーズに走らせるということ。ただ、ラジコンは実際のクルマではできないような無理な動きもできます。自分で考えて作り、思い通りに走らせられた時が一番楽しいですね」とのこと。現在は、SUBARUの社員仲間が集まったラジコン部に所属し、4歳になる長男と一緒に親子でラジコンサーキットに通っている。