トピック

Car Watch×カートピア スペシャルコラボ

東京・恵比寿発、本州縦断ロングドライブ【前編】

トピック | 2025/02

カートピア 公道を走っているクロストレック Premium S:HEV EX。 | SUBARU

クロストレック Premium S:HEV EXの優れた燃費性能と大容量タンクでいったいどこまで走れるだろうか?そんな大いなる期待をもとにCar Watchとカートピアが特別連動企画!モータージャーナリスト山田弘樹氏がステアリングを握り、長距離ツーリングに出た。

ストロングハイブリッドに高まるロングドライブへの期待


SUBARU待望のストロングハイブリッドが、クロストレックに初搭載された(以下クロストレックS:HEV)。筆者はそのプロトタイプを先んじてクローズドコースで試乗し、トヨタ譲りの「THS-Ⅱ」ハイブリッドシステムと、SUBARUならではのシンメトリカルAWDが生み出す走りのポテンシャルに大いに感心させられたわけだが、「すぐにでもこのクロストレックを連れ出して、ロングドライブをしてみたい!」という、強い思いに駆られた。

カートピア クロストレック Premium S:HEV EXのリヤオーナメント。 | SUBARU

なぜならクロストレックS:HEVは現行SUBARU製モデルで一番の18.9㎞/L(WLTC総合値*)という燃費性能を実現し、なおかつその燃料タンク容量が、63Lにまで拡大されていたからだ。単純計算で1190㎞という航続距離は机上の空論としても、ワンタンクで1000㎞ならば十分狙えるのではないか? 東京から北は北海道、西なら九州までワンタンクで走破できたら、それはちょっとしたロマンだ。そんな思いが試乗後に湧き上がったのである。そしてこの度、そんな筆者の熱烈なラブコールが実を結び、ロングドライブが始まったというわけである。

*燃料消費率は定められた試験条件のもとでの数値です。したがって、実際の走行時には、気象、道路における交通の混雑の状態、運転方法に応じて燃料消費率が異なってきます。

*WLTCモードは、市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードです。市街地モードは信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定し、郊外モードは信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定、高速道路モードは高速道路等での走行を想定しています。

カートピア 公道を走っているクロストレック Premium S:HEV EX。 | SUBARU

東京から西へ、始まりはEVスタート


出発地は東京・恵比寿のSUBARU本社。筆者を含めた大人3人と人数分のキャリーケース、そしてカメラ機材をラゲッジに詰め込んで、2泊3日のロングドライブはスタートした。ルールは至ってシンプルだ。数値を伸ばすための極端な燃費走行は一切行わない。交通の流れに乗りながら制限速度を守り、途中では休憩をきちんと取りながら、九州方面を目指す。これだけである。

カートピア 東京・恵比寿から門司港までの走行ルートの図。 | SUBARU

まずはステアリングの奥にある、スタートボタンをプッシュ。すぐさまその横にある「EV MODE」ボタンを押すと、クロストレックS:HEVはモーター駆動で走り出した。バッテリーが適正温度領域に入っていなかったり、SOC(電池残量)が少なかったりする場合など、条件によっては最初からエンジンがかかることもあるが、今回は首尾よくEVスタートが決まった。

カートピア EV MODEスイッチやアクセサリーコンセントが使用できるAC100Vスイッチ。 | SUBARU
ステアリングコラム右側にはEV MODEスイッチやオプション装備のアクセサリーコンセントが使用できるAC100Vスイッチを配置。

ちなみに試乗車は、走行距離わずかに52㎞のまっさらな新車だ。よってその航続可能距離はそのわずかな走行距離をベースに構築された結果だろう、ガソリン満タンの状態でも880㎞と、1000㎞を割っていた。ロングランのデータを反映させて、これをどこまで伸ばせるかが、ひとつの山場だ。

カートピア 東京・恵比寿のSUBARU本社から出発するクロストレックPremium S:HEV EX。 | SUBARU
東京・恵比寿のSUBARU本社からはモーターのみで走行する「EV MODE」でスタート。

東京の街中を、モーターだけで走るクロストレックS:HEV。走り始めだけにアクセルワークには慎重を期したが、50㎞/hくらいまで粘り強くEVモードが持続したのには、かなり驚かされた。ちなみにその駆動用モーターは、270N・mもの最大トルクを発揮する。EV走行の頻度は、これまでのe-BOXER比でおよそ1.5倍にまで拡大されているのだという。

カートピア クロストレックPremium S:HEV EX専用装備の12.3インチフル液晶メーターに、エンジン、モーターからのエネルギーフローが表示されている様子。 | SUBARU
EXグレード専用装備の12.3インチフル液晶メーターは、インフォメーションエリアにエネルギーフローを表示できる。エンジンからの動力はオレンジの矢印、モーターからの動力はグリーンの矢印で表わされる。(左図)回生時などバッテリーに充電をしている際はブルーの矢印で表示。(右図)

また、たとえエンジンがかかっても、走りの質感が削がれないのも素晴らしかった。クロストレックS:HEVはそもそもの遮音性がかなり高い上に、振動を打ち消し合う水平対向エンジンも極めて静かだからだ。そしてアクセルオンで微かに聞こえる、心地良いメカニカルサウンドが全体の印象を良くしていた。

カートピア クロストレックPremium S:HEV EXのエンジンルーム。 | SUBARU
ハイブリッドシステムは新採用の2.5Lエンジンと高出力モーターを効率よく使い分ける。

そんな北米譲りの2.5L自然吸気ユニットは、今回のストロングハイブリッド化にあたって吸排気と制御を刷新。吸気バルブを「遅閉じ」して膨張比を大きく取るアトキンソンサイクル方式を常用回転のほぼ全域で導入することで、その燃費性能を高めた。またこれによってベースとなるFB25ユニットから絶対的な出力値は160PS/209N・mへと少し下がったが、前述した走行用モーターが、低回転時のトルク不足や高回転時における出力不足を補っている。

カートピア クロストレックPremium S:HEV EXのパワーメーター。 | SUBARU
パワーメーターを採用し、システムの出力やエネルギーの回収状況をリアルタイムに表示。指針をECOエリアに保つことで環境に配慮した走行ができる。

街中での乗り味は、軽快かつ上質だ。デュアルピニオン式の電動パワステは街中でも取り回しが良く、アクセルは軽く合わせるだけでパワーユニットがリニアに反応し、車体がスッと軽やかに進む。クロストレックS:HEVはストロングハイブリッド化で約50㎏車重を増やしたが、その重みもほどよく車体の落ち着きを高めていた。またこれを支える足周りが、まったりと路面をつかむ。つまりは乗り心地が、とてもいい。特にロッドを延長してフリクションを低減し、ストローク初期から減衰力を立ち上げるようになったリヤダンパーは、後部座席の乗り心地を大きく向上させた。

カートピア クロストレックPremium S:HEV EXの前席の全体図。 | SUBARU
クロストレックPremium S:HEV EXのインパネ。
カートピア クロストレックPremium S:HEV EXのカーゴルームに4つのスーツケースや撮影機材を積み込んでいる様子。 | SUBARU
ラゲッジは大人3人、2泊3日分の荷物と撮影機材を余裕で飲み込む広さ。

●快適なシンメトリカルAWDの走りで九州方面へ!

プロフィール

カートピア 山田弘樹 YAMADA Kouki | SUBARU
山田弘樹 YAMADA Kouki

モータージャーナリスト

自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経て独立。編集部在籍時代からレース活動を始め、各種ワンメイクレースを経てスーパーFJ、スーパー耐久にも参戦。この経験を活かし、モータージャーナリストとしての執筆活動と並行して、レースレポートやインストラクター活動も行っている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

今月乗った車

カートピア CROSSTREK S:HEV EX | SUBARU
CROSSTREK Premium S:HEV EX

全長×全幅×全高 / 4480×1800×1575mm*
 *ルーフレール装着車の場合は+5mm
最低地上高 / 200mm
パワーユニット / 2.5L DOHC 直噴+2モーター[e-BOXER(ストロングハイブリッド)]
トランスミッション / リニアトロニック
駆動方式 / AWD
タイヤサイズ / 225/55R18
燃費消費率(WLTCモード) / 18.9km/L
燃料タンク容量 / 63L

カートピア クロストレックの詳細はこちら | SUBARU
カートピア クロストレックを試乗してみる | SUBARU

※燃料消費率は定められた試験条件のもとでの数値です。したがって、実際の走行時には、気象、道路における交通の混雑の状態、運転方法に応じて燃料消費率が異なってきます。
※WLTCモードは、市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードです。市街地モードは信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定し、郊外モードは信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定、高速道路モードは高速道路等での走行を想定しています。

Photographs●高橋 学
協力●Car Watch編集部
Car Watch https://car.watch.impress.co.jp/

※こちらの記事は2025年冬号に掲載した内容です。

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