アウトドアライフアドバイザー・寒川一 × レイバック開発スタッフが語る
LAYBACK“くつろぎ”の方程式 Vol.01トピック | 2024/11
神奈川県・三浦半島を拠点に焚き火カフェなど独自のアウトドアサービスを展開している寒川一さんは言う。「焚き火の炎を見つめているうちに眼の焦点がぼやけて何を見ているのかわからなくなる。そのとき、五感の扉が開いて、“見る”から“感じる”にシフトする」。
焚き火カフェを通じてさまざまな人に“くつろぎの時間”を提供してきた“アウトドアライフアドバイザー”寒川さんが、レイバックの開発を手掛けたスタッフ3人と焚き火の炎を囲んで、クルマにおける“くつろぎ”や“豊かさ”とはどのようにしてもたらされるのか、とことん語り合います。
目次:
Vol.01:開発のねらい&バックグラウンド (齋藤 茂 商品事業本部 プロジェクトマネージャー)
Vol.02:“穏やかな乗り心地”を目指して (藤井 忠則 技術本部 車両開発統括部 主査)
Vol.03:デザインコンセプト“凛”ד包” (中野 徹 経営企画本部 価値づくり推進室 デザイン部)
Vol.04:“くつろぎ”“豊かさ”の原点にあるもの (寒川 一 アウトドアライフアドバイザー)
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LAID BACK~くつろぎの原点
寒川:この日のために先日、レヴォーグ レイバック(以下レイバック)を10日間お借りしました。仕事や日常の暮らしの中でしばらくの間使ってみて感じたのは、ひと言で “クルマとして非常に乗りやすかった”ということです。私は仕事柄荷物を積載してあちらこちらに移動します。その際、クルマもレンタカーを含めて、さまざまなタイプのものを使ってきました。いずれの場合も、乗ってからそのクルマの装備やクセを理解してなじむまでにそれなりの時間がかかるのですが、レイバックの場合は、最初にアイサイトXの使い方の説明を受けて乗っただけで、すぐになじむことができました。
アウトドア用品でよく言うのは、取扱説明書を読まないときちんと使えないものは、どこか不完全であるということ。結果として、使用時のストレスだけならまだしも、それが怪我や事故につながってしまいます。クルマも操作性が悪かったり、レイアウトが悪かったりすると事故につながる可能性があると思います。レイバックは、”乗りやすい”ということが、いろいろなことを包括していると感じました。その背景も含めて、なぜ“くつろぎ”をテーマにした車両を企画したのかお聞きしたいです。
齋藤:“乗りやすさ”はレイバックの開発でまさに狙いにしていたところですので、寒川さんにそのように感じていただけたことは大変嬉しく思います。従来のSUBARUのラインアップには、レガシィ アウトバックやクロストレック、フォレスターなどアウトドアフィールドが似合うモデルが一方にあり、もう一方にはレヴォーグやインプレッサ、WRX、BRZなどのスポーティ系のモデルがありました。そのいずれにも属さない、これまでのSUBARU車のカテゴリーにはなかった新しい価値を提供できるクルマとしてレイバックを企画しました。
開発に入る前に、近年のお客様の声をリサーチしてみると、実際にラフな路面を走るケースはあまりなくても、街中で乗れるような都市型のSUVに乗りたいという方が増えており、そうしたお客様はクルマに“乗りやすさ”“上質さ”を求めていることが分かりました。そこで、私たちは都市型SUVの魅力を備えながらも、もう少しお客様の行動領域を拡張できるクルマを目指して開発をスタートしました。その背景には、従来のSUBARU車が提供していた「アウトドア」や「スポーティ」という価値に対して「くつろげる空間」「豊かさ」を提供することで、お客様の人生を豊かにするクルマを造りたいという思いがありました。レイバックという車名は「くつろいだ」「ゆったりとした」を意味する「LAID BACK」という言葉から生まれたもので、このクルマがお客様に提供する価値を象徴しています。
寒川:10日間お借りしている中で、私だけでなく、妻やクルマにはほとんど興味のない30代の息子もレイバックには興味を示して、運転していました。妻は初めてのクルマには気後れしてあまり乗らないのですが、レイバックにはすんなりと乗って「車両感覚がつかみやすく、視界が良いので運転しやすかった」と言っていました。軽自動車を所有している息子は、子どもたちと一緒にレイバックに乗って、改めて先進の運転支援技術に驚いていました。
齋藤:SUBARUでは0次安全という考えの中で、死角を最小限にして視界を良くするという基本設計も取り入れています。さらに、レイバックは従来のSUBARU車よりも乗り味をしなやかな方向に振っていますので、運転しやすく、ご家族にも気に入っていただけたのではないでしょうか。
寒川:そういうところが“くつろぎ”の原点にあるのだと思います。シートも良いし、ハーマンカードンサウンドシステムの音響も良い。今回は使いませんでしたが、リヤ席にもシートヒーターが付いているなど、贅沢な装備がてんこ盛りなんだけど、重要なのはAピラーの付け根に三角の窓があって交差点などでも周囲の状況がしっかり見えていることや、誰もが乗った瞬間に迷いなく使いこなせる操作系。その上でさまざまな快適装備が付いているということが、まさにこのクルマでリラックスして移動できることにつながるのだと思います。
円型焚き火台もぴったり収納
使い勝手を拡大するカーゴルーム
「カーゴフロアボードの下に69Lの容量を持つ大型サブトランクを備えています。背の高いものを積むときや、汚れやすい荷物と汚したくないものとを分けて積むときに便利に使っていただけます」(齋藤)
「このサブトランクは、私が企画して商品化した円型の焚き火台を収納するのにピッタリのサイズだったので感動しました。アウトドアギアには丸い形のものが意外に多いのです。それらを収納するのにも使えますね」(寒川)
荷物の収納もワンタッチで
リヤシートフォールディングスイッチ
「後席の背もたれは、荷室の左右に装備したリヤシートフォールディングスイッチで簡単に倒すことができます。中央席が倒された状態で、右側を倒す際、背もたれを結合するラッチとストライカー(写真の〇部分)に指が挟み込まれないよう、右側の背もたれが倒れる速度を抑えています」(齋藤)
「これがあると荷物を積む際に、何度もリヤ席と荷室との間を行ったり来たりする手間が省けますね」(寒川)
「これまでのSUBARU車にはなかった、
新しい価値を提供できるクルマとしてレイバックを企画しました」
- 齋藤 茂
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商品事業本部 プロジェクトマネージャー
レイバックの開発プロジェクトを統括。商品の企画スタートからコンセプト、車両の性能面やデザイン、生産に至るまで全体を統括している。
Photographs●海老根里実
※こちらの記事は2024年秋号に掲載した内容です。