メーカーを知る

直接視界を重視して開発された、

クロストレックの視界性能

メーカーを知る | 2024/06

カートピア cocosuba | SUBARU
カートピア ココスバポインターで運転席側Aピラー付け根を指し示す前原氏 | SUBARU
カートピア 運転席から見たクロストレックの左側リヤクォーターピラー | SUBARU
左後側方を運転席から振り返って見ると、リヤクォーターピラー後方の三角窓を通して後側方の様子を確認することができます。
カートピア 荷室側から見たクロストレックの左側リヤクォーターピラー | SUBARU
同じリヤクォーターピラーですが、カーゴルーム側から見るとさきほどよりもずっと太いことが分かります。ピラーの断面形状を工夫することで、運転席から見たときに視界を妨げないような工夫がされているためです。

車両開発の第一歩はヒトの位置を決めること


私は入社以来クルマのパッケージング開発に携わってきました。パッケージングとは、車両コンセプトに基づいて乗るヒトの位置や運転姿勢を決め、それに対してスイッチやステアリング、ペダルなど運転操作に必要なものの配置を、人間工学を駆使して決めていく仕事です。クルマを設計する際には、最初に車内のどこに、どんな着座姿勢でヒトが座れるようにするかを決めます。次にその位置を基準にして運転視界、操作性、居住性、乗降性をいかにすれば良くすることができるか、それぞれ目標値を定めてさまざまな工夫を凝らして開発していきます。このうちSUBARUは伝統的に運転視界を重視しており、高い目標値を設定して“安心して運転できる視界”を追求し続けてきました。運転視界には、ドライバーが自分の目で直接見ることができる「直接視界」と、ミラーやカメラなどのデバイスを介して、ドライバーから死角になる領域を見ることができる「間接視界」があります。SUBARUは、カメラの性能を高めて画像をよりキレイに見せるなど「間接視界」を向上しながらも、最も重視して取り組んでいるのは、「直接視界」を向上し、そもそもの死角を減らすことです。

さまざまなシーンで直接視界向上を追求


「直接視界」を良くするために、実際に運転している場面を想定して細かいところまで配慮した要件を設定し、パッケージングを開発しています。一般的な車両開発においては、ドライバーのアイポイントの高さを要件として設定し、そこから見たときの死角を減らします。交差点を右左折するなど特定の場面を考慮するならそれで不足はないかもしれません。が、私たちはワインディング路のゆるやかなコーナー、タイトなコーナー、住宅街の細い路地など、クルマを運転していて遭遇するさまざまなシチュエーションに対して、ドライバーはどこを見ているのか?見たいポイントはどこなのか?を追求し、それぞれのシーンで死角を減らし、よく見るポイントを優先して直接視界を確保できるように配慮しています。そのためSUBARUではAピラーの角度や付け根の位置、ドアウインドゥの三角窓の配置、大きさ、三角窓の枠の太さや位置まで細かい要件設定をしています。そういったこだわりによって、交差点の右左折などで子供が死角に入りにくい安全な視界を実現しています。

VRを用いて緻密な評価を実施


さまざまなシーンでドライバーがどこを見ているのか?見たいポイントはどこなのか?を確認するため、従来は実際にワインディング路や住宅街でクルマを走らせて、ドライバーの視線を計測して開発していました。最近はVR(Virtual Reality)を採り入れ、さまざまな周辺環境を再現したバーチャルな空間の中で計測しています。VRを用いることで、わざわざ現地まで移動する手間が省けるだけでなく、一度アイポイントを固定すれば場面が異なっても同じ視点から繰り返し視界を確認でき、多くのスタッフが同じ視界を共有しながら評価・検討して課題を解決することができます。さらに大柄な人から小柄な人まで、さまざまなドライバーのアイポイントを設定できるので、同じ環境でも体格によって見え方がどう違うのかも検証することができます。このようにしてさまざまなシーンで重要と感じる視界エリア、よく見るポイントを優先して視界を向上できるよう配慮してパッケージングを組み立てていきます。SUBARU車の場合、たとえば中速域で走り抜けられるようなワインディング路であれば、フロントガラスの枠内でコーナーの先がきちんと見通せるようにしています。より曲率半径の小さいタイトコーナーや、交差点を右左折する場面では、サイドの三角窓の枠の中で見通したいコーナーの先や交差点を歩く歩行者がきちんと確認できるよう、振り分けてレイアウトしています。

お店でチェック。SUBARU車の視界性能


SUBARUのお店でご試乗される機会がありましたら、まず運転席に座って前方を見たときの開放感と明るさ、そして後側方を振り返った際の死角の少なさをチェックしてみてください。これは直接視界を重視して開発しているSUBARU車ならではのものです。その一方で、ボンネットフードはあえてドライバーに見えるようにレイアウトすることで、車両感覚を把握しやすくしています。住宅街の狭い路地を走るときなど、ボンネットフードの見え方から、自車の左前端部分がどこにあるのかをイメージできるので、安心して曲がり角を通過できます。ぜひSUBARU車に試乗して確かめてみてください。

今月の語った人

カートピア 前原浩一さんポートレイト | SUBARU
前原 浩一

株式会社SUBARU 技術本部
車両安全開発部 パッケージング開発課

栃木県栃木市生まれ。生まれ育った栃木市が住みやすく現在も在住。勤務地の群馬県太田市までクルマで通勤している。学生時代は山形県で6年間を過ごしたことをキッカケに、日本酒好きになる。山形県のお酒で好きな銘柄は東光(とうこう)、初孫、十四代など。生まれ故郷栃木のお酒では、鳳凰美田(ほうおうびでん)、東力士(あずまりきし)、仙禽(せんきん)がお気に入りだそう。中でも仙禽は辛口ですっきりしていて飲みやすいのでおすすめとのこと。中学時代まで野球部に所属。現在も草野球で栃木市の大会にエントリーしている。休日には家族で温泉に出かけて骨休め。地元栃木の鬼怒川、那須塩原、日光のほか、山形県の赤湯温泉にも足をのばす。

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